チベットの漫画と絵 Tibetan cartoon

蔵西のチベット漫画 制作雑記

チベットの漫画を描いている蔵西の日々制作雑記やお知らせ

西チベット・スピティの古刹タボ寺で絵を描くこと

イメージ 1西チベット・スピティ  タボ寺。
996年の壁画のはじっこに描かれていた、
異国風の2人をスケッチ。
 
タボ寺内は撮影禁止。
薄暗いお堂や、暗くて何が何だかの回廊をヘッドライトを付けて見て歩くと、
建立当時の996年の壁画が浮かび上がる。
 
2階までぶち抜きの全ての壁一面、
天井までびっしりと描かれた
仏達やブッダの物語の壁画。
 
 
思わず触れてみたくなる。
 
が、我慢だ。
 
 
お参りの地元のおじちゃんは
「 …オン マニ ぺェメ…ンム… 」と
お経をもぐもぐ唱えつつ、
壁画におでこをちょんと付け、
手でなぞってゆく。
 
丁度、人の手やおでこが当たるあたりの高さの壁画部分は、
薄黒くなっていたり、はげていたりする。
長年(1000年以上!?)の数え切れないほどの人々のお参りの結果だろう。
 
あたしも、 触れたい。
でも、出来ない。
 しちゃぁいけないのだろう、と思う。
 
 
お堂の中では、青年僧が付いて来てくれた。
英語が出来る僧だったので、
わぁ、案内してくれるんだ、 親切―― でも、あたし、あまりエイゴわからんよ、すまんです。。。
 
しかし、
3回目 見に行った時も付いて来て 、 
ん? この僧はもしや、
 案内 兼、 見張り…?
 
 …お手数おかけして申し訳ないです。 信心のない外国人がお邪魔してます。。。 
 
 
1000年の壁画の線や色が
生き生きと なまなましいのは、
ヘッドライトの明かりで照らしているからなのか?
 
描きたい、 写したい、 描きたい、 写したい。
身勝手な煩悩。 
 
思い切って、恐る恐る、 スケッチをしても良いか、青年僧に聞く。
 
「 いいですよ 」 
「!?…っえ!? ほんとに!?」
 
 ! ゎー ゎー ゎー !!(心の声)
 
 
1000年前の人の絵が、線が目の前にある。
どう この繊細な線をひいたのか。
獣毛の細い筆に墨液をひたし、息を止めて、一気に?
1000年前の人が、描いたその時、何を思って考えていたのか。
どんな人だったのかなぁ。
家族は? 性格は? 何時に起きて何食べた?
どんな生い立ちで、
どういう経緯で ここで絵を描いていたのかなぁ。
 
絵から、
一本の線から、
その絵の物語だけでなく、
その絵師の生きてきた物語が
にじみ出てくる 気がする。
 
 
 
あたしのペンでは、到底、描き写せやしない。
 
何枚も何枚も描いた。
 
しまいには
「 もう少し描いていていいですよ。 私のお勤めが終わるまで 」
と、青年僧は、
俗人は入れない小さいお堂に篭り、
夕方の勤行を始めてしまった。
 
うはぁ。
闇の迫るお堂に
あたし ひとり。
 
 
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